31:スッキリ出たのにお腹が張る

本日は卒業生からのご質問の回答を紹介します。 通常は「会員限定」にするのですが、今回は個人を特定するような情報がないのと、一般の方にも知っておいてもらったほうが良い内容だったので公開記事にしました。

 

卒業生からの質問

施術していくうちに、疑問ばかりが出て来ます。下痢の方で、スッキリ感はあるのですが、施術していると、下腹部のぽっこりや上・下降やS状に便の溜まりがみうけられます。本人はスッキリ感があっても、ただ便が流れているだけであり、腸壁の入れ替わりがないため、下降やS状に残っているのでしょうか?それとも便は流れているから、次の老廃物が、腸内に移動ているだけなのでしょうか?施術は昼からでした。見極めが難しいです。宜しくお願いします。

 

松下の回答

スッキリ感があっても、腸内もスッキリしているとは限りません。なので、対象者からの報告を鵜呑みにせず、実際に観察した時の状態と合わせて考え、そこに疑問を持つことが出来ているのは良いですね。

>「腸壁の入れ替わりがないため、下降やS状に残っているのでしょうか?」
>「それとも便は流れているから、次の老廃物が、腸内に移動ているだけなのでしょうか?」

考え方については、両方とも可能性としてあります。ただ、実際に私はそのお腹を触っていないので、現時点で判断できませんが、スッキリ感があったのに、なぜ腸内に内容物が残っているのか、という点に関していえば

対象者が感じる「スッキリ」は、あくまでも直腸内にある内容物が勢いよく出てくることで得られる感覚であり、その「スッキリ感」と腸内の内容物の排泄量については、はじめから「イコールでは無い」ということを知らなければいけません。

簡単に言えば、肛門から液体を入れて、それを一気に排泄するだけでも「スッキリ感」を得ることが出来ます。でも、腸管内の内容物は何も動いていませんよね。これと同じようなことが、下痢の方や下剤依存の方に多くみられます

 


しかし、肛門から液体を入れたわけじゃなく、口から水分をとっているのだから、他の内容物と一緒に出てくれるのでは?と、たぶん多くの方が思いますよね。 この点に関しては、排水管の自然勾配で考えるとイメージできるのですが、勾配が無さすぎると、液体ばかりが先に流れて固体は配管内に残りやすく詰まりやすくなります

そして腸の中も、勾配が無い部分があるだけでなく、逆勾配になっているところも多数あるため、腸自体が正しく動いてくれないと液体だけが先に流れて出てしまい、内容物があちこちに残るのも当たり前なんです。 なので、ご質問にある、「下痢」という不腸の状態で便を「スッキリ」出していても、腸の中までスッキリしているとは限らないのは当たり前です。

、というのが今回の回答となります。 もちろん、美腸セラピーで正しく施術していけば、そんな慢性的な下痢からも卒業することが出来ますから、しっかりとサポートしてあげてくださいね。

 

 

補足説明)間違ったスッキリは不調の原因になる

せっかくの機会ですから、スッキリ感があるのに、腸内がスッキリしていない時の状態について、卒業生の方向けに補足説明しますね。その為に本日お越しのお客様から許可を頂き、今回の説明に使わせて頂きました。

定期的に通っていただいている方ですが、今回のご報告では『約1ヶ月前から「消化酵素サプリ」と「オリゴ糖」を摂り始めて、毎日のように便はスッキリ出ていた』とのことでしたが、カウンセリング時に色々と聞いていくと、腸はあまり良い状態とは思えませんでした。 その不腸を知らせてくれるヒントは、次のような点です。

 

不調を知らせてくれる5つのヒント

ヒント1)ここ最近は便がずっと緩い感じ
考え方)この方の水分摂取量は、通常より少ないくらいなのに、それで便がずっと緩いなら腸が水分を吸収できてない状態。
ヒント2)ガスでお腹が張りやすい
考え方) ガスが作られやすいのは腸内腐敗が原因で、便は出ているのに腸内腐敗がすすむのは汚れた腸壁の代謝が弱い証拠。
ヒント3)肩と腰に痛みのチェックあり
考え方) ご来店当初は栄養の吸収不足から関節の摩耗に代謝が追いつかず、肩の痛みが続いていたけど、腸が元気になるにつれて痛みは軽減していました。その肩にも痛みのチェックが1年ぶりに入っていたので、また栄養の吸収が悪くなっている可能性も。

 

この1~3のヒントから、間違いなく腸の消化吸収力が落ちていると考えられるので、体重についても聞いてみると

 

ヒント4)たしかに最近、体重が3kgも減っていて、今はまた40kgをきってしまった
考え方) 腸の元気を取り戻して少しづつ体重も増えていってたのに、また急に体重が落ちたということは、何か腸の消化吸収力を下げる原因が追加されたと考えられます。

さらに、腸が弱っていると自律神経も乱れてくるので、睡眠についても聞くと
ヒント5)そういえば最近、起きる時間の1時間前に目が覚めたり、仕事の夢を見ることもある
考え方) 冬が近づくと遅くまで寝てしまうこともあるのに、逆に早く目が覚めたり、仕事の夢をみるということは、寝ていても体の緊張がとれきれていない。
 

 

腸観図からも状態を考える

カウンセリングで見つけた5つのヒントから、以前より腸が弱っていることは明白です。 実際に腸を観察してみると次のような状態でした。卒業生は、腸観図を見ながら一緒に考えてくださいね。

 

check point1
S状結腸には緊張。横行結腸は内壁汚れ、上行には硬い溜まりもみられました。
check point1
小腸に関しては、何かによって内容物を出そうとする作用が強く働いているようで、たまりは出口付近にしかみられません。
check point1
便は出ていても腸壁の代謝が弱く汚れは血液中に取り込まれているので濾過装置である肝臓~右半面に硬さもあり。
check point1
取り込んだ汚れを捨てたいのに、水代謝が悪いので腎臓に負担もかかり、背面に緊張がありました。

 

腸の状態から考えられる負担

この腸は、下剤を使って排泄している腸と同じような状態だと言えるため、この方は下剤を使用していないが下剤と同じような反応をおこす何かを摂っている可能性がある、と考えられるわけで、それが今回は「消化酵素サプリ」or「オリゴ糖」だったということになります。

つまり、「腸に良い」と言われているものでも、極端に便の排泄が促されるものは、腸を弱らせる原因になってしまうこともあるのです。

だから、腸ケアを考える時には、「排泄」だけでみるのではなく、ご自身のカラダの変化や腸の状態を観察しながら、自分に合ったケア方法を選択してほしいと思います。腸ケアの正しい知識が広まりますように。

 

筆者  美腸セラピー 松下先生

美腸セラピースクール
NPO法人健康増進技術協会 理事長
先生の施術は⇒【 salon-HP
講座の情報は⇒【 school-HP

2020年01月04日